蜻蛉の手帳

北海道東部を拠点に、昆虫のトンボを中心とした観察記録・写真を掲載しています。 なお、某有名文房具とは一切関係ございません。

 ヒグマ生息地の強行突破から一週間後、林道の入り口を改めて確認したところ開通していたので、今回は安全かつ迅速な車で現地まで向かいました。
 やはり車移動なら10分で到着したので、30℃近い気温の中を1時間歩いた事がただの苦行としか思えません。 

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コサナエ♀:羽化

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上陸途中の幼虫
 
 水辺を再び見て回ると、早朝から羽化を行っていた数個体と共に、上陸途中と思われる幼虫を運よく発見。羽化のピークは過ぎているはずですが、出遅れた個体がいた事に安心しつつも、この日は昼過ぎから天気が崩れる予報だったので、早く羽化を始めてくれと祈りながら待ちました。

、、、が。この幼虫、かなり用心深いのか優柔不断なのか、発見時から約2時間近くの間に停止と移動を繰り返すばかりで、一向に落ち着く気配を見せません。そうこうする内に、水面には冷たい風が吹き付け始め、空を見上げれば灰色の雲の塊が迫ってきます。

ついには、ポツポツと帽子に当たる雨粒の音。そして、荷物を木陰に避難させている最中に、跡形も無く姿を消す幼虫!? どうやら、羽化を取りやめて水中に戻ったようですが、羽化の雨天中止現場に立ち会うとは思いもしませんでした。

Aodaisyou

「また来年に持ち越しだね」by アオダイショウ


forest

 『林道開通が一週間遅いぞ』とか『ヤゴが優柔不断だったから』とかの言い訳は置いておくとして、まさかの持ち越し二年目になりそうです。


弟子屈町 2020年6月6日 

Mitubaourenn
ミツバオウレン 

Kotubame
コツバメ

 5月だというのに気温が30℃近くまで上がり、トンボシーズン開幕の第二弾として、昨年やり残したコサナエの羽化を拝みに行く事にしました。

Kosanae

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コサナエ♀:羽化

 という感じで、無事成功したかのように思えますが、実は水域まで繋がる林道の入り口が閉鎖されているという問題が発生し、車であれば10分くらいで到着するところ、仕方がないのでヒグマ生息地の真っ只中を片道1時間歩いて強行突破しました。

 爆竹と熊スプレー片手に延々と歩き、ヒグマには遭遇しませんでしたが、途中でキツツキのクマゲラを3回も目撃するもそれすら振り切り水域に駆けつけると、羽化の最終段階にギリギリ滑り込む事ができました。車での移動が叶えばおそらく上陸から立ち会う事ができたと思いますが、最低限の目標を達成したので一安心というところです。

弟子屈町 2020年5月30日

Kusasotetu
クサソテツ(コゴミ)

Miyamasumire
ミヤマスミレ
 
Ezoyamazakura
エゾヤマザクラ

 道東もようやく桜が咲き、気温の上昇と共に春を通り越して初夏の雰囲気になりつつあります。

弟子屈町 2020年5月23日 

Marigoke 
 少し強めの風が数日吹き続いた後、道東中央部に位置する屈斜路湖の岸辺には、謎の物体が漂着します。

Marigoke2
マリゴケ
 
 正体はマリゴケ。枯れた水生植物が波の力で球形に集まった物です。形は阿寒湖の球状マリモと似ているのですが、マリモは生きている藻類の集合体であるのに対して、こちらは枯れた水草などの集合体なので、似て非なる物です。
 『馬糞マリモ』という悲しい別名もあるのですが(というか見た目が完全に馬糞)、 一応、屈斜路湖のある弟子屈町の天然記念物に指定されています。そんな事は微塵も知らなかった学生時代、調査のために湖を訪れた時に暇つぶしに投げて遊んでいたのも、今となっては懐かしい思い出です。

 あと、マリゴケで検索すると『オホーツクに消ゆ』という80年代のゲームが出てきます。


弟子屈町 屈斜路湖 2020年5月23日

Miyamaqsumire
ミヤマスミレ

Oobananoennreisou
オオバナノエンレイソウ

 人間世界では三密回避が話題ですが、野原の花々の三密は綺麗なものです。

弟子屈町 2020年5月16日 

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