蜻蛉の手帳

北海道東部を拠点に、昆虫のトンボを中心とした観察記録・写真を掲載しています。 なお、某有名文房具とは一切関係ございません。

Ezotorikabuto
エゾトリカブト

北海道では『お盆を過ぎたら秋』とよく言われますますが、本当にその通りで、お盆を境に朝晩の気温が涼しくなり、秋の花も咲き始めました。
猛毒で有名なトリカブトも、北海道では秋の花です。

Mutuakane
ムツアカネ♂

トンボでも秋の気配が既に漂い始めており、『黒い赤とんぼ』ことムツアカネも姿を現しました。
いつも見てもこの渋い黒色は良いものです。
体は黒色ですが白い場所が好きな様で、白色の虫網を地面に置いておくと高確率で止まりに来ます。

(こんな感じです↓)
Mutuakane2
 
Ooruribosi
オオルリボシヤンマ♀(青色型):産卵の合間の小休止
Yotubosi
ヨツボシトンボ♂

ですが、日中は暑いので夏を代表するトンボ達もまだ健在です。
ヨツボシトンボに至っては春先から現れるので、なんとも息の長いトンボですが、流石に翅がボロボロの個体が多くなって来ました。

Sesuziito1
Sesuziito2
セスジイトトンボ♂:トビケラの一種を捕食(下)

もう一種、こちらも夏の印象が強いセスジイトトンボです。
北海道では生息地が限られているので、なかなかお目にかかれませんが、青色系のイトトンボが多い北海道の中では、淡い水色がどことなく夏の雰囲気を感じさせてくれます。

今年はいつもよりも観察に出る機会が多いのですが、それでも季節は矢継ぎ早に進んで行いくので、気が抜けません。


阿寒町 2020年8月22日

Iizima1
イイジマルリボシヤンマ♂

満を辞して、イイジマルリボシヤンマを見に行って来ました。
今回訪れたのは、これまでに何度か下調べをしていた有名な場所なのですが、実際に生きて飛んでいる姿を見ると、感動と共に『本当にいた』と安心するものです。

Iizima2
♂の縄張り争い 

個体数はそこそこでしたが、縄張り争いを繰り広げつつ、風に漂う姿も見られたので行動をよく観察する事ができました。
生息環境からして、同属のオオルリボシヤンマやルリボシヤンマもいるかと思っていたのですが、両種の姿は全く無く、イイジマルリボシヤンマだけだった事は面白い点でした。

Iizima3
 
Iizima4
イイジマルリボシヤンマ♀(緑色型:上、青色型:下):産卵

あわよくばと期待しつつ、意外にもすんなりと拝む事ができたのがこちらの産卵行動です。

イイジマルリボシヤンマの生息環境は高層湿原で、一見するとイネ科やカヤツリグサ科が繁茂する草原の様に見えるのですが、地面は湿地あるいは浮島で、表面にはミズゴケ類やモウセンゴケ、タヌキモなどの湿性植物が自生して大量の水分を含んでいます。イイジマルリボシヤンマのメスは、草のわずかな隙間をかき分けて最下層の湿性植物まで降り立ち、翅が草にぶつかったりモウセンゴケに触れる事も厭わずに産卵を行なっていました。

贅沢を言うと、図鑑に載っている様な真横からビシッと決まった姿を撮りたいところでしたが、何しろ下の写真の様な状況だったので、メスの全容を捉えるだけでも一苦労でした。

Iizima5
イイジマルリボシヤンマの産卵風景(中央にメスがいる)

こんな状況ですから、湿原内を探索している最中に足元からメスが飛び上がるという事もしばしばで、トンボの翅が草にぶつかる時の『バチバチッ』という独特の音に神経を集中させながらの探索となりました。
トンボ観察で、聴覚をフル活用するというのはなかなかありませんね。

Karakaneito
カラカネイトトンボ♂

Mizutombo
ミズトンボ

他にも、北海道の高層湿原ではお馴染みのカラカネイトトンボが多く見られ、ミズトンボという名のランの一種まで自生していました。何から何までトンボ尽くしですね。

Higuma
ヒグマの足跡

今回の観察では途中から友人が合流したのですが、現場まで先導している時に、友人が真新しいヒグマの足跡を発見しました。
ここで普通なら、すぐに撤退するのが常識のある人の行動かもしれませんが、友人と二人して『まあ、道東なら仕方ないよね』と日常会話の様に言葉を交わしつつ、観察を強行した事を振り返ると、北海道暮らしが板に付いて来たのかなと思うこの頃です。


別海町 2020年8月16日 

Kooni1
コオニヤンマ♂

近場の水辺へコオニヤンマの様子を見に行ってきました。今年はわずかな範囲で10個体以上が確認でき、健在なようでとても安心しました。それにしても、コオニヤンマは雌雄共に後脚がとても長いのが特徴ですが、細い枝先に止まって自慢の美脚を投げ出す姿は、なんとも優雅なものです。

個人的なランクで、鳥界の美脚No.1は『ヘビクイワシ』だと思っているのですが、もしトンボ界で美脚No.1を決めるなら、是非ともコオニヤンマを推したいですね。

Kooni2
コオニヤンマ♂:エゾスジグロシロチョウを捕食
 
優雅さを兼ね備えつつも、そこはやはりトンボなので獰猛な一面も見せてくれます。
折しもエゾスジグロシロチョウを捕食していたオスがいたのですが、ムシャムシャと微かな咀嚼音をさせながら食べる様は、昆虫界屈指のハンターという出で立ちです。

Kooni3
ほぼ食べ終わりの状況ですが、口元に見えている欠片がエゾスジグロシロチョウ(だった物)です。顔や足が鱗粉に塗れる様は、鮮血で口元を真っ赤に染める肉食獣さながらです。

Eosuziguro

ところで、なぜエゾスジグロシロチョウだと分かったのかというと、コオニヤンマが食事をする真下の水面に漂っていた残骸から判断しました。
自然界で命が巡る瞬間を見る時は、妙な感動と共にどこか哀愁が漂うものです。


弟子屈町 2020年8月10日

Risu
リスアカネ(ヒメリスアカネ)♂

不調だったEOS 70Dですが、修理を終えて無事に戻ってきました。
おかげさまで新品同然の状態になったので、これで心置きなくトンボと戯れる事ができます。 

Ooruribosi1
Ooruribosi2
オオルリボシヤンマ♀(青色型:上、緑色型:下):産卵

Ooruribosi3
オオルリボシヤンマ♀(緑色型):産卵の合間の飛翔

今回は、修理後初の試運転も兼ねて、昨年の秋に下調べをしておいた水辺へ行ってきました。
とりあえず、写真を見る限りはカメラに何の問題もなさそうです。

長らく天候が悪かった事も影響してなのか、この水辺ではオオルリボシヤンマが至るところで見られ、岸辺のあちこちでは産卵が繰り広げられていました。
ここは深い沼なので探索がなかなか難しいのですが、水面には浮葉植物が繁茂し、おまけに岸辺には浮島によって形成された高層湿原の様な環境まで存在するので、面白いトンボが多く生息していそうでした。今後も定期的に訪れる必要がありそうです。 

Koitiyouran
コイチヨウラン

例年、7〜9月は仕事の都合でほとんどトンボ観察に行けないのですが、今年はコロナの関係で予定が狂いに狂った結果、意外にも観察に行きやすい状況になりました。
第3波が発生しつつある中で、遠方への移動は謹まなければなりませんが、例によって行くところは人がいない大自然なので、一応注意しつつもこの機会を楽しもうと思います。

釧路市 2020年8月8日

Mousengoke
モウセンゴケの花

Siokara
シオカラトンボ♀:羽化

久々にEOS kiss X5を使用した事もあってか、ボタンの位置が違ったり、シャッターを切る時の音が『カシャッ』という懐かしい物だったため、逆に面白くなって色々と撮ってしまいました。
今は編集で自由に加工できますが、オリジナルの色合い的にはEOS 70Dの方が、より実物に近いような気がします。

Sarasa
サラサヤンマ♂:小休止

それはさておき、道東の湿地ではサラサヤンマが飛び交う季節になりました。
天気の良い日は、林縁や道路上などの開放的な場所を飛んでいるので、大きさも相まってエゾトンボ類と一瞬間違えそうになります。

弟子屈町 2020年7月17日 

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