蜻蛉の手帳

北海道東部を拠点に、昆虫のトンボを中心とした観察記録・写真を掲載しています。 なお、某有名文房具とは一切関係ございません。

2020年03月

 このご時世なので家の中に篭りがちですが、気分転換に雪解けの進んだ野山へ春を探しに行ってきました。

Fukujyusou1
Fukujyusou2
Fukujyusou3

 例によって、人気の無い野外での自然観察なのでウイルス感染の心配はなさそうですが、むしろ気にするべきは、冬眠から目覚めたヒグマとの遭遇かもしれません。

弟子屈町 2020年3月29日 

 非常事態宣言が解けたので、友人と共に渡り鳥を見に行ってきました。

 「こんな時に不謹慎な!」という世間の反応が一瞬頭を過りましたが、よく考えて見ると『人気の無い野外で自然観察』となれば、感染危険度が高いとされる換気の悪い密閉空間多数が集まる密集場所間近で会話や発声をする密接場面とは完璧に逆の環境なので、ウィルスの貰いようも広げようもないなという結論に至り、こういう趣味を持ってて良かったと友人共々口にしながら現地へ向かいました。

Hisikui
ヒシクイ

 今回の観察地は、道東のとある河口域。ガン・カモ類が北への渡りの途中で羽を休める場所として有名で、到着早々ヒシクイの群に遭遇しました。

Magan&Sijyukaragan
マガンとシジュウカラガン

Magan&Oowasi
通りすがりのオオワシと、勝手に逃げ惑うマガン

 一帯は耕作地が広がっているので、鳥の影を探しつつ車でひたすら移動を繰り返すという観察でした。特に多く見られたのがヒシクイ、マガン、シジュウカラガンで、三三五五散らばって落穂を食べたり、通りすがりのオオワシに驚いて飛び上がるなど、見ていて飽きませんでした。

Hakugan
ハクガン

 そして、今回(友人が)一番の目的としていたのが、このハクガンです。名前の通り全身真っ白なガンですが、翼の先端あたりの羽が黒いので、飛んでいる時の姿はどこかカモメを思わせる姿でした。

Hakugan&etc

 このハクガンたちも他の水鳥たちと同じく、北へ帰る途中の栄養補給のため落穂拾いに精を出していました。

 ちなみに今回、まるですんなりとハクガンに辿り着いたような感じですが、実は観察開始から約4時間はハクガンのハの字も無く、どうしようかと途方に暮れていた矢先、ふと覗いた双眼鏡の先に不自然に車が集まっている光景が目に留まりました。「こんな畑のど真ん中で、野外仕様の車がやたら止まっているのはおかしいぞ!?」と感じて駆けつけてみると、案の定、ハクガンの大群がいたという結末です。

 虫屋の世界でもよくありますが、人の集結によって生息地が炙り出されるとは正にこの事かと感じた日でした。


道東 2020年3月21日

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