lake&pass
 全国的に雪が少ない冬ではありますが、ちょっとずつ降り積もった雪によって野山や水辺は凍りついています。
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 そんな昆虫とは無縁の季節かと思いきや、晴れた日に森の中へ行くと、雪上には動く昆虫の姿が!
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クモガタガガンボの一種♂

 こちら、冬季に活動するという特殊な生態を持つガガンボの一種、クモガタガガンボです。
 他のガガンボ類のように折れそうな長い脚とは異なり、がっしりとした脚を活かして雪上を歩きます。そのため、翅は退化してほとんど原型を留めていません。一見すると、クモかと思える雰囲気なので、和名の『蜘蛛型ガガンボ』は十分頷けます。

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クモガタガガンボの一種♀

 こちらは同種と思われるメスの個体です。オスは寸胴体型なのに対して、メスは腹部の先が尖っているので、初見での識別は難しくありませんでした。

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危険を感じると脚を畳んでじっとする

 息を吹きかけたり指で軽く触るなどして刺激を与えると、危険を感じて脚を畳んでじっとするのですが、こうなるとますますクモに似てきます。また、発見時も含めて観察中は雌雄共にひたすら歩き続けており、止まる事がありませんでした。 
 クモガタガガンボの研究はほとんど進んでおらず、国内に生息する種数や、野生での生態含めて不明な事だらけのようです。厳冬期であれば、生息環境や餌資源の観点から他の種との競争は避けやすいかとは思いますが、一方で、例えば隠れる場所の無い雪上を歩いている時は、鳥類にすぐ見つかる危険性もあるはずです。深海魚や高山植物の様に、あえてこの生存戦略を取った(あるいは取らざるを得なかった?)何かがあるのかもしれません。

 ところで、北海道の野外でクモガタガガンボを探そうと思ったら、除雪されているわけがない雪深い野山を歩く必要が当然出てくるわけですが、先日札幌へ出かけたのは、厳冬期の野外観察を快適に行うための装備調達が目的でした。スノーシュー(西洋かんじき)やスノーブーツ含め、占めて1○万〜近い買い物でしたが、、、お蔭様で上から下まで整えた完全武装により、冷たい物といったら世間からの目線くらいかなと思えるほど、快適になりました。

弟子屈町 2020年2月14日