蜻蛉の手帳

北海道東部を拠点に、昆虫のトンボを中心とした観察記録・写真を掲載しています。 なお、某有名文房具とは一切関係ございません。

カテゴリ: 風景

yellow_leavies

Kosiabura
Kosiabura2
コシアブラ


ようやく色々と落ちきつつあるので、今が盛りの道東の紅葉を堪能してきました。
最近のお気に入りは、淡黄白に紅葉するコシアブラです。


弟子屈町  2022年10月22日

frostflower1
frostflower2
フロストフラワー

月が変わってから気温が少しずつ上がる予報なので、冬が終わる前に氷上にできるフロストフラワーを見てきました。
夜間から早朝にかけての気温が氷点下15℃以下で、なおかつ無風状態でなければできない現象なので、今冬はこれが見納めかもしれません。

shine
ookame
オオカメノキの新芽

暦の上では啓蟄を過ぎた事もあってか、日差しがかなり暖かくなり、植物の動きも見え始めました。


先日、気象庁が長年続けていた『生物季節観測』について観測種を大幅に削減する事が発表されましたが、その結果、植物の多くと動物全てが廃止される事になりました。廃止された動物の観測対象には、シオカラトンボとアキアカネの初見日(その年に成虫を初めて確認した日)が含まれていたので、一介のトンボ屋としては感傷に浸ってしまいます。
しかも、廃止の原因が環境の変化により観測地点から対象種が消えたという事には、考えさせられる物がありますが、気候や環境の変化をいち早く敏感に示すのは自然界の生きものですから、『いる・いない』を調べるだけでもとても重要な記録になったはずです。

幸いにも、日本には地道に自然を観察している方が沢山いらっしゃいます。そのような方達と話す時に、必ず一度は出る一言が『今年は〇〇が出るのが早い・遅い』なので、前年からの気候も加味した上での経験則から出る予想のみならず、長年の情報蓄積量たるや凄まじい物があると常々感じています。
本ブログも、北海道の辺境の自然を細々と紹介しているに過ぎませんが、このような個人のしがない記録でも残していく必要があるのかなと感じました。


弟子屈町 2021年3月7日 

draw

観察初めからかなり間が空きしましたが、雪に埋もれて冬眠していたわけではありません。
と言いつつも、昨日の吹雪で玄関前に高さ1mの雪山ができたので、埋もれていた事には違いないです。

ginkita
黒いキタキツネ

吹雪前の観察で、黒いキタキツネを見かけました。
かつて、毛皮目的で道内にギンギツネ(ユーラシア・北米大陸に生息するアカギツネの黒色個体)が移入されたのですが、その後逃げ出して野生のキタキツネと交雑した結果、ギンギツネの遺伝子が含まれた個体がいるようです。
今回の個体は、本来のキタキツネの黄色が絶妙な具合で混ざっていて、一瞬足の長いエゾタヌキかと思いました。


弟子屈町 2020年2月28日 

usi
クジラウシ目 ウシ科 ウシ属 ウシ〈ホルスタイン・フリーシアン〉
(標茶町 2020年9月13日) 

明けましておめでとうございます。今年も蜻蛉の手帳を宜しくお願いします。

丑年ということで、道東では風景の一部と化しているウシたちに登場してもらいました。
後ろに見えているのは摩周湖南東部にそびえる虹別岳です。


最近は生物分類の大幅改変により、グループが合体・分離したり、カタカナ表記に統一されたりと色々変わりつつありますが、ウシが該当する旧偶蹄目(ウシ目)はクジラ目と合体して『鯨偶蹄目(くじらぐうてい目 or クジラウシ目)』に表記が統一されつつあるそうです。
全部にウシが入っているので、ネコイヌキツネ属(キタキツネ)や、サル目のネズミキツネザル属よりはまだわかりやすいかもしれませんね。

lake&pass
 全国的に雪が少ない冬ではありますが、ちょっとずつ降り積もった雪によって野山や水辺は凍りついています。
Kumogata1
 そんな昆虫とは無縁の季節かと思いきや、晴れた日に森の中へ行くと、雪上には動く昆虫の姿が!
Kumogata2
クモガタガガンボの一種♂

 こちら、冬季に活動するという特殊な生態を持つガガンボの一種、クモガタガガンボです。
 他のガガンボ類のように折れそうな長い脚とは異なり、がっしりとした脚を活かして雪上を歩きます。そのため、翅は退化してほとんど原型を留めていません。一見すると、クモかと思える雰囲気なので、和名の『蜘蛛型ガガンボ』は十分頷けます。

Kumogata3
クモガタガガンボの一種♀

 こちらは同種と思われるメスの個体です。オスは寸胴体型なのに対して、メスは腹部の先が尖っているので、初見での識別は難しくありませんでした。

Kumogata4
危険を感じると脚を畳んでじっとする

 息を吹きかけたり指で軽く触るなどして刺激を与えると、危険を感じて脚を畳んでじっとするのですが、こうなるとますますクモに似てきます。また、発見時も含めて観察中は雌雄共にひたすら歩き続けており、止まる事がありませんでした。 
 クモガタガガンボの研究はほとんど進んでおらず、国内に生息する種数や、野生での生態含めて不明な事だらけのようです。厳冬期であれば、生息環境や餌資源の観点から他の種との競争は避けやすいかとは思いますが、一方で、例えば隠れる場所の無い雪上を歩いている時は、鳥類にすぐ見つかる危険性もあるはずです。深海魚や高山植物の様に、あえてこの生存戦略を取った(あるいは取らざるを得なかった?)何かがあるのかもしれません。

 ところで、北海道の野外でクモガタガガンボを探そうと思ったら、除雪されているわけがない雪深い野山を歩く必要が当然出てくるわけですが、先日札幌へ出かけたのは、厳冬期の野外観察を快適に行うための装備調達が目的でした。スノーシュー(西洋かんじき)やスノーブーツ含め、占めて1○万〜近い買い物でしたが、、、お蔭様で上から下まで整えた完全武装により、冷たい物といったら世間からの目線くらいかなと思えるほど、快適になりました。

弟子屈町 2020年2月14日 

このページのトップヘ