蜻蛉の手帳

北海道東部を拠点に、昆虫のトンボを中心とした観察記録・写真を掲載しています。 なお、某有名文房具とは一切関係ございません。

2019年07月

 先日の記録で、行き倒れのモデルになった友人と共に、道東の山地へ植物とトンボを見に行って来ました。

Iwatutuzi
 イワツツジ

Ruriito
ルリイトトンボ♂

 今回の目当てはカオジロトンボだったのですが、残念ながら連日の雨による気温の低下により、流石のカオジロトンボも活動していませんでした。とは言え、生息環境を把握出来ましたし、目的地までの道すがら、友人から山地生の植物を教わる事が出来たのでそれなりの成果を得ました。

 また、帰り際に連れて行ってくれた別の水辺で、良いものに巡り会えました。

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ルリボシヤンマ♀:羽化

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 ルリボシヤンマ♂:羽化

 訪れた時間帯は夕方だったのですが、羽化を終えようとしていたルリボシヤンマを見ることが出来ました。これも、天候の悪さが幸いしたのかもしれません。
 羽化していた場所は、岸辺に生えていたトドマツの幼木の茂みで、北海道を代表する針葉樹の一つで羽化していたという点では、これも北海道らしい光景かもしれません。水面から枝先までは距離にして5メートル前後。しかも薄暗い環境だったのですが、見渡せば枝先には幾つもの羽化殻があり、人気の高い場所のようです。

Ruriboshi2
 ルリボシヤンマ♂:羽化

  さらに、トドマツ幼木のはるか頭上でも定位していた幼虫を友人が見つけました。観察している内に羽化を始めたので、「是非とも殻から出る瞬間を見てほしい!」と勧め、共に待つこと30分。友人が「ちょっと、ネイチャートイレ(小)に行ってくる」ということで、私が見張りを代わったその数十秒後、写真の通り殻からスルリと抜け出てしまい、決定的瞬間を見逃した当の友人はネイチャートイレに行く気が失せたのでした。
 これは、もはやルリボシヤンマがタイミングを狙っていたとしか思えない行動ですね。

Ruriboshi3
 
 意気消沈する友人を、「羽が展開する前のヤンマも中々見られないから」と慰め、この日の観察を終えました。とりあえず、今回の教訓は『トンボの羽化中はトイレに行くな』ですね。

道東 2019年7月15日 

 道東に住む友人に誘われて、海浜性の植物を見に行ってきました。

Ezokisuge
 エゾキスゲ

 
 これまでに何度か訪れた海辺に着くと、一面にエゾキスゲが咲き誇っていました。冬の殺風景な時期にしか来たことが無かったので、何とも新鮮な風景です。

Umimidori1
 Umimidori2
 ウミミドリ

 まず教えて貰ったのが、このウミミドリ。教えて貰わない限り、確実に素通りするくらいの小さな花です。サクラソウの仲間という事なのですが、確かによく見れば、小さいながらもサクラソウらしき雰囲気が漂っています。

Akkesisou
 アッケシソウ

 そして、こちらがアッケシソウ。秋口の紅葉した状態が有名ですが、夏場はご覧の通り青々としています。

Ikidaore?
 行き倒れ?


 ちなみに、ウミミドリとアッケシソウの高さは10cmほどなので、撮影時のスタイルはこんな感じでした。友人が撮影しているところを遠目から見て、「これは、行き倒れにしか見えないな」と思いましたが、数分前までは私がこの姿勢でしたし、何よりトンボ撮影の際は大体こんな状態なので、何の問題もありません(謎)

Nogoma
 ノゴマとハマナス

Hamabenkeisou2
ハマベンケイソウ

 特に一押しと教えて貰ったのが、このハマベンケイソウです。名前ぐらいしか聞いた事がなかったのですが、海浜性植物というだけあって、葉が肉厚で独特な雰囲気を醸し出しています。

Hamabenkeisou1

 
 花の形を改めて見ると、某夢の国の作品に登場するプリンセス達が着ているドレス(シンデレラのプリンセスライン的な)の様で、なかなかファンタジーな花です。勧めた理由は違うのかもしれませんが、確かにこれは一押しと言いたくなる花でした。

道東 2019年6月30日 

Shiokara1
Shiokara2
シオカラトンボ♀:羽化

 森の中の水辺で、水際から3メートルほど離れた倒木でシオカラトンボが羽化していました。どんなトンボでも羽化する瞬間は美しいものですが、見慣れたトンボと言えども自然度の高いところで羽化していると絵になります。何より、その意外な行動力には驚かされました。
Hikagenokazura
 ヒカゲノカズラ

Benibanaichiyakusou
ベニバナイチヤクソウ

 前回もミステリアスな花々を紹介しましたが、今回も引き続き少しミステリアスな花(?)を。ヒカゲノカズラはコケの様な見た目に反してシダ植物ですが、胞子枝が燭台の様に見えて特徴的ですし、今回改めて調べてその活用方法の多さに驚きました(人工受粉、血止め、金魚の産卵巣、飾りなど)。
 先日は、エゾカオジロトンボなどの希少性の高いトンボに出会ったばかりで、その生態に更に迫りたいという思いも出てきますが、普段見慣れた生きものでもハッとさせられる瞬間があるので、それは忘れない様にしたいものです。

弟子屈町 2019年6月25日 

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